マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

池井戸潤 民王 シベリアの陰謀

 未曾有をミゾユーと読み、踏襲をフシュウと読んでしまう首相 武藤泰山。かつての日本の首相 誰かさんのようではあるが、それには理由があったのだ。

 実は泰山の中身が息子の翔と入れ替わってしまったのである。

 大学生の翔は、学業よりは六本木のクラブ遊びに精を出すドラ息子。一方で、泰山の中身は息子の翔の中に移っていた。

 中身が翔の泰山は、国会を乗り切らねばならず、中身が泰山の翔は、就職戦線を乗り切らねばならない。果たしてどうなるのか?これが前作民王でした。

 今回の作品は、その続編ということになるでしょう。

 人を狂暴化させる謎のウィルスに、元プロレスラーで、マドンナこと高西麗子環境大臣が感染した。そして、京成大学でウィルスの研究をしてい る並木又二郎教授も感染。

 止まらぬ感染拡大。一体このウィルスはどこからやってきたのか?

 泰山は国民を救うべく、息子の翔、秘書の貝原、そして並木の助手の眉村紗英と共に、見えない敵に立ち向かうのであったが……。

 感染した時の症状がかなり変わっているので、新型コロナウイルスと同じとは言えませんが、非常に酷似したところもあり、身近に感じられる題材ではあります。

 でも、あまり面白い作品とは思えませんでした。

 池井戸作品の醍醐味は、真面目に仕事と向き合い、努力している会社員や銀行員、中小企業の経営者などが、腹黒い上司や私利私欲でしかものを考えない大企業の幹部、政治家など 卑怯な人間に立ち向かい、ギャフンと言わせて勝利する、現代版勧善懲悪にあります。

 半沢直樹シリーズしかり、下町ロケットシリーズしかりです。

 特に私は、「空飛ぶタイヤ」「アキラとあきら」が大好きです。

 こういった作品は、とても感情移入しやすく、次どうなるんだろう?とページを捲る手が止まりません。

 しかし今回の作品にはそれがなく、あまり感情移入もできませんでした。

 確かに好き嫌いは個人によって違うと思いますが、池井戸さんの作品としては、つまらなかった というのが私の正直な感想です。