マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

我孫子武丸 殺戮にいたる病

 我孫子武丸という作家を初めて知りました。

 25年も前に書かれた作品ですので、いろいろと時代的なギャップはありますが、衝撃的な作品でした。

 東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるシリアルキラーが出現した。

 刑事を退職した樋口武雄は64歳。妻の美絵を乳癌でなくし、子供にも恵まれなかった彼は、孤独な毎日を送っていた。

 そんな彼を心配してくれたのは、美絵が入院していた病院で働いていた看護婦 島木敏子であった。妻の死を境に樋口の家を訪れるようになった敏子は、細やかな気配りをし、来るたびに何日分かの食事を作っておいてくれた。

 彼女の自分に対する好意には、気づいていた樋口であったが、29歳の敏子と年老いた自分が釣り合うはずもないと、彼は敏子の気持ちを受け入れることが出来なかった。

 そんな敏子が殺された。シリアルキラーの餌食になって、惨い殺され方をしたのである。樋口は、美絵の妹 かおるに頼まれて共に事件を探ろうとする。

 蒲生稔は大学に通っていた。大学近くの喫茶店で、ある女性を見かけて心惹かれ、その後大学の食堂で、2回目に彼女を見かけて、向いの席に座りデートに誘った。

 池袋のホテルに入り、稔は首を絞めて彼女を殺害した後、死体を陵辱したのである。

 そして稔は、今まで味わったことのない喜びと快感を得る。

 一方蒲生雅子は、家族との平穏な暮らしを望む専業主婦であったが、最近様子のおかしい息子のことを、犯罪者ではないかと疑い始めていた。

 20歳の時に結婚し、夫への愛情は冷めてはいたが、離婚したいとまでは思っていない。彼女にとって大切なのは、息子と娘でしかないのであった。

 雅子は息子の留守中、よく息子の部屋に入って、息子がポルノ雑誌など怪しげなものを隠してはいないかと調べることがあったが、そんなある日、息子の部屋のごみ箱から血の入ったビニール袋を見つけ、益々息子に対する不信感を募らせていく。

 最後に信じられないどんでん返しが待ち受けています。

 まさかそんな結末だったとは!身も凍るラストシーンです。

 平凡な中流家庭の孕む病理。最後の最後までわからない人物トリック!

 読んだことのないタイプの作品でした。