宮部みゆき時代小説
先日 宮部みゆきの現代ものについて話しましたが、今回は、時代小説について
書いてみたいと思います。
宮部みゆきは、時代劇も大変面白く、第13回吉川英治文学新人賞を受賞した
本所深川ふしぎ草子 かまいたち 幻色江戸ごよみ 初ものがたり 堪忍箱 あやし
あかんべえ ばんば憑き 桜ほうさら 荒神
また、震える岩 天狗風 のお初シリーズ
ぼんくら 日暮らし おまえさん の ぼんくらシリーズ
おそろし あんじゅう 泣き童子 三鬼 の 三島屋変調百物語シリーズ など、
多くの時代小説を書いています。
江戸庶民の暮らしがよくわかり、興味深い話が沢山あります。
中でも私が大好きなのは、孤宿の人 で、夢中で読みふけりました。
江戸の大店の若旦那と奉公人の女の間に生まれた少女「ほう」は、阿呆の呆と
さげすまれ、教育を受けることなく育ち、ある時 讃岐の丸美という土地に、
置き去りにされます。
でも、そこで藩医を務める井二上家に引き取られ、娘の琴にやさしくしてもらうのですが、その琴は毒殺されてしまいます。
その後、引き手の宇佐に面倒をみて貰うことになり、ほうも宇佐を慕いますが、
そんな日も長くは続きません。
江戸で恐ろしい罪を犯した幕府の元重臣で、今は流罪となり、丸美藩に預けられる
こととなった 加賀殿なる人物が幽閉されている屋敷で、下女として働くことに
なります。
丸美藩の中で着々と進む様々なたくらみ。多くの血が流されることになります。
屋敷でも次々と悲劇が起こる中、ほうは、優しい人たちに何度も命を救われ、
加賀殿とも手習いを習うことから、彼の優しさを知り、心をかよわせていきます。
ほうの名前の意味も阿呆のほうではなく、宝と言う字意味もあるのだと加賀殿に
教わるのです。
ほうは、賢いというわけではありませんが、働き者で素直なまっすぐな少女で、
その健気な姿が読む人の心を打つ素晴らしい作品だと思いました。
時代小説が好きな方には、是非お勧めです。