マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

主人が亡くなりました

私事ですが、主人が亡くなりました。癌でした。 主人が入院中も、気晴らしに本は読んでいたのですが、とてもブログを書く気にはなれず、ずっとほったらかしていました。 葬儀は終わりましたが、これからいろいろな諸手続きがあり、当分忙しくなりそうです。 …

垣谷美雨 夫のカノジョ

今までいろいろと垣谷さんの作品を読んできましたが、一番大笑いしてしまった作品かもしれません。 小松原菱子は、2LDK+S、58平米のマンションに、夫と中3の娘、小5の息子の4人で暮らしているおり、彼女の目下最大の目標は、手狭になったマンションの買い替…

凪良ゆう 流浪の月

家内更紗の家庭は、ちょっと普通と変わっていた。 お父さんとお母さんは、外国人の夫婦のようにごく自然にキスをするし、お母さんは、昼間から平気でお酒を飲む。お母さんは料理上手だが、気の向いた時しか作ってくれない。夕飯がアイスクリームの時だってあ…

垣谷美雨 うちの子が結婚しないので

福田千賀子 57歳。コンピューターのプログラマーとして、派遣契約で働いている。 夫は大学の同級生で、証券会社に勤めていたが、現在は通販会社に出向になり、部長職としてそれなりに給料をもらっている。後数年で定年である。 友人のモリコからの年賀状に「…

垣谷美雨 四十歳 未婚出産

旅行代理店に勤める宮村優子は、部下の水野匠と団体ツアーの下見のために、カンボジアを訪れた。 日頃のストレスからの解放感からか、異国にいることで感情が高ぶっていたのか? 自由に闊歩する牛や猿に影響され、暑さで考えがまとまらなくなり、幻想的な月…

垣谷美雨 ニュータウンは黄昏れて

バブル崩壊の直前、東京郊外に4LDKの分譲団地を購入した織部家。 20年以上近く経つ今もローンを抱え、織部頼子は節約に必死である。 頼子の夫は、技術革新から取り残されてコンピューター会社の管理職から平社員に格下げされ、収入は激減した。会社を辞めた…

垣谷美雨 女たちの避難所

東日本大震災が起こった日、九死に一生を得た椿原福子は、津波から助けた少年 昌也を連れて避難所に向かった。 乳飲み子を抱えた漆山遠乃は、舅 義兄と共に。 息子とはぐれたシングルマザーの山野渚は、避難所で息子 昌也と出会うことが出来た。 しかしそこ…

宮部みゆき きたきた捕物帖

深川元町の岡っ引き、文庫屋の千吉親分は、初春の戻り寒で小雪がちらつく昼下がり、馴染みの小唄の師匠のところで、熱燗をやりながらふぐ鍋を食って中毒って(あたって)死んだ。享年46、親分は役者のようないい男で、若い頃から女にもてたが、四十路に入っ…

染井為人 正体

埼玉で、一家3人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚、鏑木慶一 当時18歳が脱獄した。 殺されのは、当時29歳だった井尾洋輔、妻の千草27歳、二人の息子 俊輔2歳である。 ただ一人殺されなかったのは、50代の洋輔の母だけであった。 争う物音を聞いた隣…

月村了衛 欺す衆生(だますしゅじょう)

月村了衛の作品を初めて読みました。 横田商事に数ヶ月前に入社した隠岐隆は、会長の様子を見て来いと上司に命じられたばかりに、会長が刺殺される場面に遭遇してしまう。 横田商事が悪辣な詐欺商法を働いていると知りながら、30万円の固定給と10パーセント…

垣谷美雨 もう別れてもいいですか

原田澄子は58歳、給食センターでパートをしながら夫と二人暮らしをしている。 長女は東京で区役所に勤めており、一人暮らし。次女は結婚して夫、息子と共に名古屋に住んでいる。 澄子の夫は、暴力をふるうわけでもはなく、浮気やギャンブルに現を抜かしてい…

染井為人 悪い夏

26歳の佐々木守は、生活保護受給者のもとを回るケースワーカー。 同僚の高野洋司が、生活保護の打ち切りをちらつかせ、ケースの女性に肉体関係を強要していると知り、真相を確かめようと、その女性 林野愛美の家を訪ねる。 愛美の娘 美空にクレヨンを買って…

中山七里 笑えシャイロック

帝都第一銀行に勤務する結城真悟は、勤続3年目の春に新宿支店の渉外部に移動になる。それまで都内の大型店舗で営業部に属し、自分では出世競争で、同期に先んじていると認識していた結城は落胆する。債権を回収する渉外部は、営業部の表道に対して裏道だから…

宇佐美まこと 熟れた月

宇佐美まこと の作品を初めて読みました。 物語は、弥生という女性が男を刺す場面から始まる。男が倒れていて、自分の手には包丁がある。どうしてこんなことになってしまったのか、その事情が短く語られるが、真相には触れていない。 場面が変わって、ファミ…

伊岡瞬 瑠璃の雫

母と弟の三人暮らしの小学6年生 杉原美緒は複雑な家庭環境で育った。 父親は自分たちを捨てて新たな家族を作り、母親は重度のアルコール依存症で、入退院を繰り返している。母の従妹で喫茶店 「ローズ」を経営する、吉岡薫の支えによって何とか生活を維持し…

瀬戸内寂聴 夏の終り

「夏の終り」は4っの連作とみられる短編と、独立した「雉子」(キギス)という短編からなる著者の私小説です。 不遇な作家 慎吾は、妻子と染色を仕事にする経済力のある愛人 知子との間を規則正しく往復する生活を8年間も続けている。 そこに知子のかつての…

望月諒子 大絵画展

正月気分も抜けて日常生活が戻って来ました。 年末年始はどうしても忙しく、本は読んではいたものの、なかなか落ち着いてブログを書く気にはなれませんでしたが、また書いていこうと思います。 ロンドンのオークションで、ゴッホ作「医師ガシェの肖像」を日…

林 真理子 我らがパラダイス

介護付き高級マンション セブンスター・タウン。 入居費8600万円、夫婦ものだと1億2000万円かかる。そこに勤める3人の女性たち。 受付係の細川邦子には、ボケが始まった父親がいる。 母親が亡くなった後、兄夫婦が最後まで父親の面倒を見る ということで、邦…

貫井徳郎 邯鄲の島遥かなり

御一新直後、神生島に一ノ屋の末裔、イチマツが帰って来た。 輝くような美貌を持つイチマツに、島の女たちは魅入られ、次々に彼のもとに通うようになる。しかし彼女たちは、イチマツを独占しようとはしない。 多くの女たちが生んだイチマツの子供たちには、…

望月諒子  蟻の棲家

望月諒子という作家は知りませんでしたが、なかなか迫力のある作品だなあ とおもいました。 東京都中野区で、射殺された、若い女性の遺体が相次いで発見された。 フリーの事件記者 木部美智子は、かねてから追っていた企業恐喝事件と、この連続殺人事件につ…

我孫子武丸 殺戮にいたる病

我孫子武丸という作家を初めて知りました。 25年も前に書かれた作品ですので、いろいろと時代的なギャップはありますが、衝撃的な作品でした。 東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるシリアルキラーが出現した。 刑事を退職した樋口武雄は64歳。妻の美絵を…

瀬戸内寂聴 私小説

瀬戸内寂聴さん、99歳でお亡くなりになられました。 大往生と言えるでしょうが、寂しいです。夫の弟子と恋愛関係になり、夫 子供を捨てて家出をしてから、51歳で出家をするまで、随分と男性遍歴を重ねて来られたようです。 この 私小説 は連載で、語りての〈…

内館牧子 終わった人

田代壮介は、東大法学部を卒業後、大手万邦銀行に入り、出世コースを歩んで来た。 しかし、彼を高く評価してくれていた役員が、経営会議から外れた為か、新役員になることが出来ず、49歳の時 子会社に出向、転籍させられ、そのまま63歳で定年を迎えた。 今ま…

垣谷美雨 70歳死亡法案、可決

高齢者が国民の3割を超え、破綻寸前の日本政府は、「70歳死亡法案」を強行採決。施行まで後2年である。 宝田東洋子は、15年間我儘放題の姑の介護に追われて来た。姑は現在84歳である。 「後2年でお義母さんから解放される」と東洋子は喜ばずにはいられなかっ…

伊岡瞬 不審者

折尾里佳子は、食品会社に勤めている夫の秀嗣、5歳の息子 洸太、姑の治子と暮らしながら、自宅でフリーの校正 校閲の仕事をしている。 夫の秀嗣は呑気でデリカシーを欠く面もあり、姑の治子は気が強い上、高齢ということもあって記憶が覚束ないことがある。…

柚月裕子 ミカエルの鼓動

北海道中央大学病院に勤務する心臓外科医 西條康己(やすみ)は、手術支援ロボット「ミカエル」を操る第一人者と言われ、将来を約束されていた。 そんな時、循環器第一外科科長の大友が、病院を辞めて地元の帯広に帰り、実父の営んでいた内科病院を継ぐこと…

垣谷美雨 夫の墓には入りません

垣谷美雨の作品は、数年前「老後の資金がありません」「あなたの人生片づけます」 を読み、「如何にもこんな人達いそうだな。面白いな」と思いました。 今回もなかなか面白かったです。 高瀬夏葉子(かよこ)と夫との仲は冷え切っていた。 脳溢血で急死した…

重松清 ビタミンF

久しぶりに重松清の作品を読みました。直木賞受賞作です。 平成12年に刊行されたそうですので、今から20年程前の作品ということになります。 バブル経済で世の中の歯車が狂っている時、働き盛りをむかえ、マンションを買い、子供が小学校にあがるようになっ…

池井戸潤 民王 シベリアの陰謀

未曾有をミゾユーと読み、踏襲をフシュウと読んでしまう首相 武藤泰山。かつての日本の首相 誰かさんのようではあるが、それには理由があったのだ。 実は泰山の中身が息子の翔と入れ替わってしまったのである。 大学生の翔は、学業よりは六本木のクラブ遊び…

西條奈加 千両かざり

百年の伝統ある 錺職「椋屋」(むくや)では、四代目春仙こと宇一が、30代半ばで死の床についていた。 椋屋の娘で宇一の義妹のお凛は、椋屋を切り盛りする傍ら、女だてらに密かに錺細工の修行をしていた。 宇一の死後、公開された遺言により、お凛は3年後に…