マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

2021-01-01から1年間の記事一覧

林 真理子 我らがパラダイス

介護付き高級マンション セブンスター・タウン。 入居費8600万円、夫婦ものだと1億2000万円かかる。そこに勤める3人の女性たち。 受付係の細川邦子には、ボケが始まった父親がいる。 母親が亡くなった後、兄夫婦が最後まで父親の面倒を見る ということで、邦…

貫井徳郎 邯鄲の島遥かなり

御一新直後、神生島に一ノ屋の末裔、イチマツが帰って来た。 輝くような美貌を持つイチマツに、島の女たちは魅入られ、次々に彼のもとに通うようになる。しかし彼女たちは、イチマツを独占しようとはしない。 多くの女たちが生んだイチマツの子供たちには、…

望月諒子  蟻の棲家

望月諒子という作家は知りませんでしたが、なかなか迫力のある作品だなあ とおもいました。 東京都中野区で、射殺された、若い女性の遺体が相次いで発見された。 フリーの事件記者 木部美智子は、かねてから追っていた企業恐喝事件と、この連続殺人事件につ…

我孫子武丸 殺戮にいたる病

我孫子武丸という作家を初めて知りました。 25年も前に書かれた作品ですので、いろいろと時代的なギャップはありますが、衝撃的な作品でした。 東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるシリアルキラーが出現した。 刑事を退職した樋口武雄は64歳。妻の美絵を…

瀬戸内寂聴 私小説

瀬戸内寂聴さん、99歳でお亡くなりになられました。 大往生と言えるでしょうが、寂しいです。夫の弟子と恋愛関係になり、夫 子供を捨てて家出をしてから、51歳で出家をするまで、随分と男性遍歴を重ねて来られたようです。 この 私小説 は連載で、語りての〈…

内館牧子 終わった人

田代壮介は、東大法学部を卒業後、大手万邦銀行に入り、出世コースを歩んで来た。 しかし、彼を高く評価してくれていた役員が、経営会議から外れた為か、新役員になることが出来ず、49歳の時 子会社に出向、転籍させられ、そのまま63歳で定年を迎えた。 今ま…

垣谷美雨 70歳死亡法案、可決

高齢者が国民の3割を超え、破綻寸前の日本政府は、「70歳死亡法案」を強行採決。施行まで後2年である。 宝田東洋子は、15年間我儘放題の姑の介護に追われて来た。姑は現在84歳である。 「後2年でお義母さんから解放される」と東洋子は喜ばずにはいられなかっ…

伊岡瞬 不審者

折尾里佳子は、食品会社に勤めている夫の秀嗣、5歳の息子 洸太、姑の治子と暮らしながら、自宅でフリーの校正 校閲の仕事をしている。 夫の秀嗣は呑気でデリカシーを欠く面もあり、姑の治子は気が強い上、高齢ということもあって記憶が覚束ないことがある。…

柚月裕子 ミカエルの鼓動

北海道中央大学病院に勤務する心臓外科医 西條康己(やすみ)は、手術支援ロボット「ミカエル」を操る第一人者と言われ、将来を約束されていた。 そんな時、循環器第一外科科長の大友が、病院を辞めて地元の帯広に帰り、実父の営んでいた内科病院を継ぐこと…

垣谷美雨 夫の墓には入りません

垣谷美雨の作品は、数年前「老後の資金がありません」「あなたの人生片づけます」 を読み、「如何にもこんな人達いそうだな。面白いな」と思いました。 今回もなかなか面白かったです。 高瀬夏葉子(かよこ)と夫との仲は冷え切っていた。 脳溢血で急死した…

重松清 ビタミンF

久しぶりに重松清の作品を読みました。直木賞受賞作です。 平成12年に刊行されたそうですので、今から20年程前の作品ということになります。 バブル経済で世の中の歯車が狂っている時、働き盛りをむかえ、マンションを買い、子供が小学校にあがるようになっ…

池井戸潤 民王 シベリアの陰謀

未曾有をミゾユーと読み、踏襲をフシュウと読んでしまう首相 武藤泰山。かつての日本の首相 誰かさんのようではあるが、それには理由があったのだ。 実は泰山の中身が息子の翔と入れ替わってしまったのである。 大学生の翔は、学業よりは六本木のクラブ遊び…

西條奈加 千両かざり

百年の伝統ある 錺職「椋屋」(むくや)では、四代目春仙こと宇一が、30代半ばで死の床についていた。 椋屋の娘で宇一の義妹のお凛は、椋屋を切り盛りする傍ら、女だてらに密かに錺細工の修行をしていた。 宇一の死後、公開された遺言により、お凛は3年後に…

西條奈加 上野池之端 鱗や繁盛記

騙されて江戸に来た13歳の少女 お末の奉公先「鱗や」は、料理茶屋とは名ばかりの、いわば連れ込み宿だった。 好色で、寄合と称しては妾のもとに出かけて行く主人 宗兵衛。 内儀のお日出や娘のお鶴は、高価な買い物や芝居見物にうつつを抜かしている。 その上…

東野圭吾 透明な螺旋

ガリレオシリーズの最新作を読みました。 南房総沖で漂流している遺体を海上保安庁のヘリコプターが発見した。 遺体は損傷がひどく、身元を示すもの何もはなかったが、20代から40代の男性であろうと推定された。背中に射創と見られる傷があり、司法解剖の結…

中山七里 嗤う淑女 ふたたび嗤う淑女

「ふたたび嗤う淑女」の文庫が発売されたので、前に読んだ「嗤う淑女」と続けて読んでみました。 野々宮恭子は、中学校でずっと苛められていた。そこに従妹の蒲生美智留が転校してくる。美智留は自分の持つ 美しさとしたたかさを使って恭子のへの苛めを止め…

西條奈加 善人長屋

久しぶりに時代劇の短編集を読みました。西條奈加の作品を読むのも初めてです。 とっつきに質屋 千鳥屋があるので、本当は千七長屋という名前であるのに、差配も店子も情に厚い善い人ばかりが住むと評判になり、善人長屋という二つ名のある長屋。 しかし実は…

平野啓一郎 ある男

平野啓一郎の作品を初めて読みました。 弁護士の城戸章は、かつての依頼者 里枝から奇妙な相談をうける。 夫の谷口大祐が、仕事中の事故によって命を落とした。 大祐の実家に連絡して、やって来た弟により、大祐が全くの別人だということが判明した というの…

貫井徳郎 愚行録

閑静な住宅街のしゃれた一軒家で、一家4人が残忍な方法で殺害された。 早稲田をでて、大手ディベロッパーに就職し、同世代の男性に比べれば破格の収入を得ていた夫。 聖心から慶応に入り、美人で常に人の輪の中心にいた お嬢様育ちの妻と、可愛らしい二人の…

貫井徳郎 悪党たちは千里を走る

「真面目に生きても無駄だ」 としょぼい騙しを繰り返す詐欺師コンビの高杉と園部。 仕事先で知り合った同じく詐欺師の菜摘子と手を組み、豪邸の飼い犬を誘拐しようと企てる。 誰も傷つけず安全に大金を手に入れようとするのであったが、その邸の家庭事情を探…

貫井徳郎 天使の屍

イラストレーターの青木と妻の美保子。彼等の中学生の息子 優馬は、青木と血の繋がりはなかったが、成績優秀で、親から見て「良い子」であった。 優馬は、テレビでの中学生のいじめによる自殺の報道を見て、「苛められて自殺するなんて馬鹿だよ」と言う。 と…

貫井徳郎 迷宮遡行

迷宮遡行は「慟哭」で華々しくデビュウした貫井徳郎が、2作目に発表した「烙印」を全面改稿して、新なタイトルを冠した作品だそうです。 「あなたとはやっていけなくなりました。ごめんなさい。私を探さないでください」 ある日突然、妻の絢子はそれだけを書…

貫井徳郎 明日の空

主人公の真辺栄美は、17歳までアメリカで生まれ育ち、高校3年となる春に帰国する。 「日本人は、みんな一緒なのが好きなんだ。目立つといじめられる。」と父親に忠告され、不安な気持ちを抱えて日本の高校に編入するが、予想に反してクラスメートは皆 親切だ…

貫井徳郎 転生

主人公は、心臓移植の手術を終えたばかりの青年 和泉。 体調は手術前に比べてうそのようによくなったが、食べ物の好みが変わり、今まで興味のなかったショパンの曲に心を奪われ、絵画にも興味を持ち、急に絵が上手く描けるようになったりする。 また、突然夢…

貫井徳郎 悪の芽

東京グランドアリーナで、アニメコンペンション 通称アニコンが開かれようとしていた。入場待ちの列は長く続く。 その行列に火炎瓶を投げ込んだ男がいた。火炎瓶は一本だけではない。逃げ惑う人々に、男は次々と火炎瓶を投げ続ける。そして最後に焼身自殺し…

中山七里 護られなかった者たちへ

仙台市で他殺死体が発見された。拘束したまま餓死させる という残酷な殺害方法から、担当刑事の苫篠は、怨恨の線で捜査を始める。 被害者は、福祉保健事務所の課長 三雲忠勝。人から恨まれるとは思えない聖人のような人物で、容疑者は一向に浮かんでこない。…

桐野夏生 夜の谷を行く

山岳ベースで行われた連合赤軍の「総括」と称する凄惨なリンチにより、12人の仲間が次々に死んだ。 アジトから逃げ出し、逮捕されたメンバーの西田啓子は、5年間の服役を終え、人目を忍んで慎ましく暮らしていた。 しかしある日、元同志の熊谷から連絡が入り…

貫井徳郎 宿命と真実の炎

後悔と真実の色 の続編 宿命と真実の炎 を読みました。 幼い日に、警察によって運命を狂わされた誠也とレイ。大人になった二人は、自分達を不幸にした警察官への復讐を始める。 前回の主役である西條輝司は、警視庁捜査一課九係の警部補で、ハンサムにして洞…

柚月裕子 暴虎の牙

孤狼の血 凶犬の眼 に続く完結編 暴虎の牙 を読みました。 昭和57年の広島呉原。愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とカリスマ性で、勢力を拡大していた。 広島北署二課の刑事 大上章吾は、沖と呉原最大の暴力団 五十子(いらこ…

貫井徳郎 新月譚

美貌の女流作家 咲良怜花。彼女は、9年前 突如として筆を折った。 彼女の大ファンである 若手編集者の渡部敏明は、怜花に絶筆宣言をした理由を聞き出し、執筆を再開して貰おうと彼女の自宅を訪れる。 数回の訪問によって、敏明の真摯な思いに心を動かされた…