マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

垣谷美雨 うちの子が結婚しないので

 福田千賀子 57歳。コンピューターのプログラマーとして、派遣契約で働いている。

 夫は大学の同級生で、証券会社に勤めていたが、現在は通販会社に出向になり、部長職としてそれなりに給料をもらっている。後数年で定年である。

 友人のモリコからの年賀状に「里奈が結婚することになりました」と書いてあり、千賀子は落ち込むことになる。里奈はモリコの娘で、次の誕生日で33歳になる。前にモリコに会った時、「このままいけば里奈は生涯独身かも」なんて言っていたのに……。

 千賀子の一人娘  友美は28歳で独身。大学卒業後、アパレル関連の会社 に勤めているが、正社員とは名ばかりで、入社以来昇給はほとんどなし。残業代も半分くらいしか出ず、毎日疲れきって帰ってくる。彼氏の気配もない。

 自分たち親の死後、友美が孤独な老後を送るのではないか?と心配になった千賀子は、夫の勧めもあり、親同志が子供の代わりに見合いをする「親婚活」に参加することになる。

 しかし、家の格の差で見下すセレブ親や、嫁を家政婦か何かと勘違いしているような年配の親など、現実は厳しい。

 こちらが気に入った相手には断られ、これは無理だという相手には気に入られる、というようになかなか上手くいかない。

 友美は友美で、本人同士の婚活パーティーに参加もするが、もてるのはサクラではないのかと思われる美女ばかり。

 果たして友美は、自分に相応しい伴侶を見つけることができるのか?

 私にもなかなか結婚しない娘がいて、他人事とは思えないストーリーでした。

 私は、最近の男性には、往々にして全体的に男気が足りないように思います。

 夫が一家の大黒柱として、妻子を養うということは、昔なら当たり前のことでした。

 女性が社会に出て働くのは、悪いことではありません。

 でも、妻に働いてほしい、家庭的だけではなく、経済的にも支えてほしい と望むのであれば、自分も妻に協力して家事も育児も半分は負担する覚悟を持つべきです。

 息子の住まいがあまりにも汚いので、嫁を持たさなければダメだと思ったという親。

 しかしその結婚の条件には、「正社員の女性を希望する」とあるのです。

 専業主婦として、家事をきちんとやってほしい というのならわかります。でも、家事をするのは女の仕事、その上正社員として男並みに働け!というのでは、まさに結婚のいいとこ取り をしようとする、ずるい男としかいいようがありません。

 千賀子は思わず相手の母親に「共働きなのに家事は全部うちの娘にやらせる、とおっしゃってるんですよね?うちの娘を過労死させる気ですか?」と怒りを露わにしてしまいますが、娘を持っている母親なら当然の反応と言えるでしょう。

 また、「男女平等だからね」とことあるごとに言って、夫婦別会計にとことんこだわる男もいます。

 「そうはいっても、子供ができたら会社の制度や保育園の事情で勤め続けられないこともあると思うんだよね。私が収入ゼロの時はどうすればいいの?」と友美が尋ねると、相手の男は、「産休中でも給料はもらえるでしょ?もらえなかったら、友美さんの独身時代の預金を取り崩していけばいいんじゃない?」とぬかすのです。

 自分の子供を産んでもらっているのに、その言い草はなんなのでしょう?

 妊娠すれば、初期には悪阻があり、妊娠後期はお腹が大きくなって動きにくく、胃が圧迫されてもたれやすくなります。

 お産の苦しみは言うに及ばずですし、生まれた後は、夜中に何度も授乳をしなければならず、訳もなく夜泣きをすることもあるので、いつも睡眠不足です。

 そんな大事を妻にやらせながら、経済的に面倒をみようとしない男なんて最低というしかありません。「一体誰の子供なんですか?二人の子供なんでしょう?」と言ってやりたい。でもそんな最低男って本当に存在するんです。こんな男に、子供を持つ資格はありません。

 この作品は、最後に友美が自分に合った、この人なら一緒に人生を歩んでいけるであろう と思える男性と出会えたことが救いですが、婚活って難しいですよね。

 やはり結婚はご縁というしかありません。

 お互い高望みをせず、自分に合ったパートナーを見つけることは、大事なことですが、やはり男性にはある程度男気を持って貰いたいものです。