マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

伊岡 瞬 冷たい檻

 舞台は北陸にある人口一万弱の過疎 岩森村。その中で目を引くのは、払い下げられた「かんぽの宿」の建物を使って中国資本が開設した 複合型ケアセンターである。

老人介護・青少年更生・児童養護の三部門とクリニックを併設する一見 理想的とも思われる 通称「施設」。しかしその内部で行われていたことは...........。

 そんな村から駐在所の警察官 北森が忽然と姿を消した。県警は、個人的な失踪として処理したが、実は北森は公安関係者で、1ヶ月後、とある筋より調査を命じられた調査官の樋口透吾が岩森村にやってくる。

 北森の後任として駐在所に勤務している島崎巡査部長は、樋口の調査を手伝うことになり、調べるうちに平和に見えたこの村で、密かに蠢く様々な暗部が顔を出し始める。

 年齢も境遇も違う多くの人物が次々に登場し、様々な視点で描かれているので、しっかり頭入れておかないと、わからなくなりそうなのですが、それでも読み出したら止まらない面白さです。

 盛り沢山なのは、視点人物だけでなく扱われる事件もで、児童虐待、少年犯罪、老人介護、海外資本の流入や政官財の癒着など多くの問題が描かれています。

 この作品は、実質2日間の話なのですが、序章で17年前の事件が語られ、そこに樋口が背負っている過去があるため、一層物語が深みを増し、結末でほっとする。そんな話でした。

 他に伊岡 瞬の作品では、代償 悪寒 を読みましたが、両方とも大変面白かったです。