マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

伊岡 瞬 祈り  いつか、虹の向こうへ

 アパレルメーカーの営業職として働く25歳の楓太は、うだつが上がらず、いつも上司に叱られてばかり。懐具合も悪く、次のカードの引き落とし日が心配で仕方ない。

 そんな楓太が、都庁にほど近い新宿中央公園で仕事をさぼっていた時、奇妙な人物を見かけるところから話は始まる。

 田舎者の劣等感をかかえる若者と、❝’望まない力❞を持つがゆえに暗い過去を背負って生きてきた中年男の人生が交差して、物語が進行していく。(祈り)

 尾木遼平は、元刑事。アルコール依存症気味の中年警備員である。ある事件がきっかけで、職も妻も失ってしまった彼は、現在売りに出している家で、3人の居候と共に奇妙な同居生活を送っている。そんな彼のところに、家出中の少女が新たな居候として転がり込んできた。彼女は、みんなを和ます陽気さを持ってはいたが、彼女が来たことによって、尾木はとんでもない厄介ごとに巻き込まれてしまう。

 同居人 それぞれが持っている暗い過去や悩み、尾木と暮らすようになったきっかけが徐々にわかってくる。(いつか、虹の向こうへ)

 伊岡 瞬の作品を読んでいると、あまりにも次から次へと理不尽なことが重なるので、「そんなに主人公をいじめないでよ」と言いたくなってしまいます。

 でも最後には、何とか折り合いがついて、ちょっとほっとする そんな作品が多いですね。これからも伊岡作品をいろいろ読んでいきたいです。