貫井徳郎 後悔と真実の色
神楽坂にほど近い住宅の空き地で、顔や体を切り裂かれた 若い女性の死体が発見された。遺体からは右手の人差し指が切断され、持ち去られていた。
所轄署の牛込署に特別捜査本部が設置され、警視庁捜査一課九係が担当になった。
九係で最も若い主任である西條輝司警部補は、第一発見者である 牛込署の地域課の制服巡査 大崎とコンビを組み、捜査にあたる。
人手不足とはいえ、相棒に経験のない制服巡査をあてがわれたり、人間関係の要素の薄い通り魔殺人と思われる事件であるのに、人間関係を捜査する「鑑」担当を命じられたことに、西條は不満を抱く。
彼を目の敵にする機動捜査隊の綿引和行警部補も捜査本部に組み込まれ、一癖 二癖ある刑事たちに囲まれながら、西條は仕事に没頭する。
だが第二の事件が起き、やはり被害者は若い女性で、右手の人差し指が切り取られていた。さらにネット上で犯人と思われる書き込みが発見され、やがて犯行日時の予告もアップされて...........。
西條は、常にマイペース。他人からどう思われているかなどは気にせず、一刻も早く犯人を捕まえたいと願うあまり、捜査のやり方は強引で、周りとの付き合い方が下手である。 だから知らず知らずのうちに敵をつくる。
次々と起こる殺人事件。西條の決して幸せとは言えない私生活。西條を取り巻く刑事たちの気持ちや不満、妬みが絡んだ人間関係。犯人の側からみた身勝手な言い分。
そして何より面白いのは、本当に最後の最後まで犯人がわからず、犯人が分かった時には、❝ ああやられた ❞と思ってしまうどんでん返し等。魅力満載の話でした。
700ページに届く 長編ですが、4連休を使って一気に読んでしまいました。