柚月裕子 ミカエルの鼓動
北海道中央大学病院に勤務する心臓外科医 西條康己(やすみ)は、手術支援ロボット「ミカエル」を操る第一人者と言われ、将来を約束されていた。
そんな時、循環器第一外科科長の大友が、病院を辞めて地元の帯広に帰り、実父の営んでいた内科病院を継ぐことになった。
後任は、北中大病院に勤務して16年になる心臓外科医で、患者や看護婦からも評判のいい前園と思われていた。
しかし、病院長の曾我部は、ドイツ帰りの医師 真木一義を大友の後任に据えると言う。確かに真木の心臓外科医としての腕は一流であるが何故?
難病の少年 白石航の治療をめぐり、西條と真木は対立する。
西條は、航の手術をミカエルによって行おうとするが、真木は反対する。
そんな中、西條を慕いミカエルによる手術を行っていた、広島総成大学病院の若手医師 布施寿敏が自らの命を絶った。
今までミカエルによる手術を強く推し進めてきた曾我部も、あまり西條の意見に賛成の姿勢を示さない。自分の知らないところで何かが起きているのか?
フリーライター 黒沢の「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」という言葉が頭から離れなくなった西條は、広島に行き布施の自宅を訪ねる。
手術の途中でミカエルが動かなくなった為に、布施は手術に失敗したのだと布施の妻は語る。
そんなことはあり得ないと思いながらも、もしそれが事実であったなら と思い悩む西條。病院での立場や自分の将来と医師としての良心の間で苦しむことになる。
しかし最後には、やはり医師として正しい道を選ぶことに……。
柚月さん 心臓手術について非常によく勉強され、取材されたのだと思いました。
難しい手術の内容も丁寧に解かりやすく解説されていて、さすが凄いと思いました。
大変読み応えがあり、勉強になることも、教えられることも多い作品でした。