マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

東野圭吾 素敵な日本人 クスノキの番人

 久しぶりに東野圭吾の新作を読みました。

 素敵な日本人 は、四季折々の行事を題材にした4編と、異色のミステリ5編からなる

短編集です。

 ちょっと不気味だったり、執念を感じさせる怖い作品だったり、間が抜けていて笑ってしまったり、逆に何かほのぼのとさせられたり と面白い短編集でした。

 クスノキの番人  は、久しぶりの長編で、「読み終えた人が明日に希望を持てるようにと思いながら書きました。」と作者が言っているように、読者が励まされ、力を貰えるような、癒される作品でした。

 貧しい家に育ち、何をやっても上手くいかず、コソ泥を働いて警察に捕まって

しまった直井玲斗が、伯母の柳澤千舟から被害者と示談を成立させ、弁護士費用を

立て替える代わりに、クスノキの番人を引き受けるように命じられるます。

 このクスノキに祈念すると願い事が叶う 言われていますが、本当は単に願い事が叶うというような単純なものではなく、いろいろな秘密があるのですが、それについて

千舟は、玲斗に何も教えてくれません。クスノキの番人を務めるうちにわかってくるだろうと言うのです。

 不倫の末に生まれた子供で、父親の顔も知らず、母親も幼い時に亡くなった為、祖母に育てられた玲斗は、充分に教育も受けておらず、余りにも ものを知りません。

 敬語の使い方もわからず、箸の使い方もおかしい、その度に千舟にあきれられ、叱責されます。

 人生を何処か諦めており、自分なんか生まれてきた価値もないと思っているところもあります。

 そんな玲斗がクスノキの番人を務めるながら、様々な人に出会い成長し、持って生まれた優しい心を取り戻していきます。

 玲斗と千舟が徐々に打ち解け、心を通わせていく過程で、読者も何か温かい気持ちになるのです。

 ナミヤ雑貨店の奇跡 を読んだ時と同じような気持ちになりました。

 東野圭吾は、ほのぼの系も面白いです。