マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

柚月裕子 暴虎の牙

 孤狼の血 凶犬の眼 に続く完結編  暴虎の牙 を読みました。

 昭和57年の広島呉原。愚連隊「呉寅会」を率いる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とカリスマ性で、勢力を拡大していた。

 広島北署二課の刑事 大上章吾は、沖と呉原最大の暴力団 五十子(いらこ)会との抗争の匂いを嗅ぎ取り、沖を食い止めようと奔走する。

 時は移り平成16年、懲役刑を受けて出所した沖が再び広島で動き出す。

 「18年前自分達を警察に売ったやつは誰か?この決着をつけない限り、自分は前に進むことができない」

 沖はかつての親しい仲間で、自分の前から姿を消した男を探し出し、自分達を売った裏切り者としてリンチにかける。

 すでに暴対法が施行されて久しく、シノギもままならなくなっているのだが、沖はなかなか現実を受け入れることができない。

 焦燥感に駆られるように沖が暴走を始めた矢先、かつて大上に薫陶を受けた呉原東署の刑事 日岡秀一が沖に接近するのだが……。

 無能な上司は上司とも思わず、刑事同士の縄張り争い、出世競争等には全く興味を示さない。日岡は、まるで生前の大上のようです。

 また、沖も乱暴で酷い人間のようですが、堅気には手をださず、ヤクザに真正面からぶつかっていこうとするので、憎み切れないのかもしれません。

 まるで男性が書いたような柚月裕子孤狼の血シリーズ 今回も面白く読むことができました。