貫井徳郎 慟哭
痛ましい幼女誘拐事件の続発。難航する捜査。その責めを負って捜査一課長 佐伯は、窮地にたたされる。
異例の昇進をした 若手キャリアの課長をめぐる警察内部の不協和音。マスコミによる私生活追及。
この緊迫した状況下で、事態は新しい局面をむかえるが...........。
それとは平行して、物語には 謎の人物 松本が登場します。
彼は過去に深い悲しみを経験し、何に対しても興味を持てず、生きる希望もない。
仕事もせず、過去の仕事も明かされていないが、何故かお金にゆとりがあるようだ。
そんな松本が、新興宗教に入信し洗脳されることで、また恐ろしい事件が起こっていくのだが...........。
決して幸せとは言えない生い立ちの佐伯が、自らの努力で掴んだ地位であっても、後ろ盾の力で、出世してきた苦労知らずのキャリア と嫉妬の目でみられ、陰口をたたかれる。それを不愉快に思いながらも、いつも冷静であろうと努める佐伯。家に帰っても、妻との仲は冷え切っており、とても家庭とよべる温かさはない。
佐伯の日々の暮らしを読んでいると、胸が痛くなってしまいます。
最後の最後に、思いもよらないどんでん返しが待っていて、「ああ!そういうラストなのね」と唯々 唯々ビックリでした。
これがデビュー作とはすごいですね。