マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

薬丸岳 刑事 夏目信人シリーズ

 「刑事のまなざし」「その鏡は噓をつく」「刑事の約束」「刑事の怒り」は、

夏目信人シリーズで「その鏡は嘘をつく」以外は、短編集です。

 夏目信人は、大学院で教育心理学を学び、罪を犯した少年と向き合う法務技官の職に就いたものの、30歳で警察官の採用試験を受けた。一人娘の絵美が、通り魔に襲われ意識が戻らない被害に遭い、いまだ不明の犯人を捕まえたいがための決断であった。

 また、加害者への恨みから少年たちに向き合うのがつらいという 逃げ もあった。

 葛藤する刑事の誕生である。彼は、虐待、ホームレス、性同一性障害、無国籍児童、少年犯罪などの問題と真摯に向き合い、事件の真相を求めて徹底的に取り組んでいく。

 正直そこまでやるか というほどに。

 私は、「刑事のまなざし」の「オムライス」という話や「刑事の約束」の「不惑」という話を読んだ時、夏目刑事は随分残酷な人だなあ という印象を受けました。

 真実の追求もいいけれど、人には気付かないふりをする優しさがあってもいいんじゃないか という感想を持ちました。

 また、人間はどんな姿になっても生きていることに意味がある とする彼の考え方にも心から賛成はできません。人間は尊厳を大切にすべきだと思うからです。

 これは、その人その人によって考え方が違うとは思いますが……。

 そうは言っても、この夏目信人シリーズは、一つ一つの物語が様々な社会問題を考えながら丁寧に描かれており、考えさせられる話が多いのも事実です。

 薬丸岳は、少年犯罪をあつかった話を多く書いていますが、優れた作品がたくさんありますね。