マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

貫井徳郎 明日の空

 主人公の真辺栄美は、17歳までアメリカで生まれ育ち、高校3年となる春に帰国する。

 「日本人は、みんな一緒なのが好きなんだ。目立つといじめられる。」と父親に忠告され、不安な気持ちを抱えて日本の高校に編入するが、予想に反してクラスメートは皆 親切だった。

 ただ、クラスで クロウ とあだ名される男子が、みんなから差別されていることに、ちょっとした憤りを覚え、自分だけは差別しないと心に誓うのであった。

 栄美が気になったのは、スポーツ万能で頭がよく、長身で優しい、女子から人気ナンバーワンの飛鳥部という男子であった。

 飛鳥部から誘われ、遊園地や水族館で楽しい時を過ごし、幸せいっぱいの栄美であったが、彼は急に素っ気なくなってしまう。

 時は流れ、大学生となった栄美の前にある男性が現れる。彼との出会いをきっかけに、高校時代の彼女の思い出は、全く別の形を見せてゆく。

 3部構成になっていて、part 2に出てくる男性が栄美と どう繋がっていくのか がこの作品をミステリアスにしています。

 そして part 3で明らかになってゆくどんでん返しは、やはり貫井徳郎らしいと思いました。

 「差別意識のない人間なんていない」という悲しい現実に直面しながらも、人間の持つ思いやりや、優しさを感じることの出来る青春ミステリでした。