マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

東野圭吾 透明な螺旋

 ガリレオシリーズの最新作を読みました。

 南房総沖で漂流している遺体を海上保安庁のヘリコプターが発見した。

 遺体は損傷がひどく、身元を示すもの何もはなかったが、20代から40代の男性であろうと推定された。背中に射創と見られる傷があり、司法解剖の結果、体内から銃弾が発見された。背後から撃たれているので、何者かに銃殺された遺体だと判明する。

 そして全国の警察に照会が行われた結果、東京足立区で行方不明届が出されている人物が有力候補として浮上してきた。男性の名は上辻亮太いう。

 行方不明届を受理した担当者が、届を出した同居女性に連絡を取ろうとしても携帯電話が繋がらなかったことから、自宅アパートを訪ねたが留守。勤務先も休職中だという。

 女性の名は島内園香といった。母親と二人暮らしをしていたが、1年半ほど前に母親がくも膜下出血で他界。生花店に勤めていたところ、客としてやって来たのが上辻であった。二人は交際するようになり、やがて上辻が園香のアパートに転がり込む形で同棲するよになったが、上辻の評判は決してよくない。

 会社勤めで映像関係の仕事をしていたが、やりたい仕事が出来ないと、共通の不満を持つ 二人の友人と共にと会社を立ち上げた。しかし起業してはみたものの、世の中そんなに甘いものではなく、壁に突き当る。

 それでも社長になった人物の努力で、少しづつ仕事が舞い込むようになった。

 だが上辻はプライドばかり高く、こんな仕事なら前の会社と変わらない と不平ばかり口にして社長と対立。おまけに若手社員やアルバイトにパワハラをし、社長に注意されると逆切れして退職してしまったのである。

 園香に対しても始めのうちこそ優しかったが、会社を辞めても次の仕事を探すでもなく、少しでも逆らうと暴力をふるうようになり、完全なひも状態である。

 こんな男なら園香が犯人だとしても不思議ではないが、犯行当時 園香には完璧なアリバイがあった。それなら何故園香は姿を消したのか?

 捜査をするうちに園香には、彼女の亡き母が実の母親のように慕い、頼りにしていた絵本作家の知り合いがいることがわかる。そしてその女性も自宅マンションを出て、行方がわからなくなっていたのである。

 草薙刑事は、その絵本作家の作った絵本の参考文献に、湯川学の名前を見つけ、彼に協力を得ようとするのであったが……。

 今回の作品では、初めて湯川のプライベートが明かされていきます。

 絵本作家の女性と湯川との間にどのような繋がりがあるのか?

 「ああ!こういう生い立ちだったのね」とわかると、湯川のクールな部分、合理的で感情を表に出さない性格も理解できるような気になります。

 でも今回の彼は、冷静でいながらも人間的で優しく、今までとは違った一面が見られました。

 ガリレオシリーズ 今回で終わりなのかな?と思わせるような作品でした。