マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

中山七里 逃亡刑事

 薬物銃器対策課に所属する 生田忠幸巡査部長が、閉店したカーディーラーのショウルームで何者かに銃殺された。彼は、単独で麻薬密売ルートを探っていたのだ。

 捜査にあたるのは、千葉県警刑事部捜査一課の高頭班である。

 高頭冴子 32歳 独身。身長180センチで武闘派の警部。男勝りの体格と豪腕ぶりで、 「アマゾネス」と よばれている。取り調べでは、虚勢を張るヤクザを萎えさせ、部下を怯えさせるほど荒っぽい行動をとるが、正義感が強く有能である。彼女の率いる班は、高い検挙率を誇っている。

 秘密主義だったという生田が探っていた麻薬ルートについて調べようとしていた矢先に事件の目撃者が現れる。児童養護施設で虐待を受け、入院中の母親に会いたくて脱走してきた 御堂猛という8歳の少年であった。

 猛の証言で、冴子は思いもよらない人物が事件に関わっていることを知る。

 腹心の部下にのみ事情を打ち明け、一人対峙しようとする冴子であったが、犯人に陥れられ、生田殺しの濡れ衣をきせられてしまう。

 目撃者である猛の命を守り、真犯人を明らかにして汚名を晴らすため、冴子は猛と共に逃亡の旅にでることになるのだが…………。

 広域暴力団 宏龍会の渉外委員長 山崎は、冴子の強引さに呆れながらも二人の逃亡に手を貸すことになる。

 潜伏先である大阪のA地区(あいりん地区と思われる)では、警察組織に属する者たちから、社会の厄介者として扱われている老人たちが、二人をなんとか助けようとしてくれる。

 無実の罪を着せられたせいで、世間のはみ出し者と言われる人々と深く関わることになり、冴子は初めて自分の属する組織の横暴さや、自分が正義と思っていたものの狭さに気づかされることになる。

 子供が苦手な冴子が、少し生意気だけれど健気さと優しさを備えた猛と、心を通わせていく様子に温かさを感じますし、ちょっとほっとさせられます。

 私は身長も高くありませんし、運動神経も鈍く、格闘などしたこともないので、冴子のような強い女性に、正直あこがれています。

 悪い奴らを思いっきり殴ったり、投げ倒すことができたらどんなにスカッとするだろう なんて思ってしまうんですよね。

 中山七里、コミカルな作品や短編よりも、やはりシリアスな長編ものがお得意なんだなあ だと思いました。