岩井俊二 ラストレター

　ラストレターは、岩井俊二が原作 映画の監督 脚本 編集をすべてこなしている作品です。

　書き出しは、「これは君の死から始まる物語だ。」この言葉通り 君＝遠野美咲 の死によって複数の登場人物の物語が語られていきます。

　主人公の僕＝乙坂鏡史郎は、中学の時に 美咲に出会い、恋をし、大学時代に付き合うようになりますが、別の男性に彼女を取られてしまいます。

　でも、彼はずっと美咲のことが忘れられず、彼女の「小説家になれるよ、君」の言葉から小説家になり、結局本になったのは、彼女との実話をモデルにした「美咲」一冊のみなのです。

　同窓会で24年ぶりに美咲に会ったら、燻り続けている自分の夢の火を消し、小説家を辞めることができるのではないか そんな思いから彼は、同窓会に出席するのですが.........。

　私が不思議なのは、自分をふった相手にまた会いたいと思うものか？ということです。例えば現在、自分が社会的にも経済的にも成功しており、素敵なパートナーと幸せな家庭を築いている とでもいうのなら、ふった相手を見返すために会ってみたいというのもわかりますが、そうでなければあまり会いたくないのではないでしょうか？

　そんなにいつまでも昔の恋人を思い続けることができるのか？

　それとも男性より、女性の方が現実的で、男性の方がロマンチストなのか？

　男性と女性では、読後感が違うかもしれません。

　でも、こんな風にいつまでも自分を思い続けてくれる人がいるというのは、女性からすれば、とても嬉しく幸せなことかもしれませんね。