マミコのひとりごと。

面白かった本をご紹介致します

中山七里 静おばあちゃんと要介護探偵

 高遠寺静、大正生まれの80歳。日本で20人目の女性裁判官となり、東京高裁の判事を務めた女性。引退して16年経つ今でも法科大学院客員教授をし、講演の依頼を受け、忙しい毎日を送っている。

 香月玄太郎、70歳。名古屋の不動産会社 香月地所  の代表取締役で、町内会長を務める地元の名士。警察はじめ各所に顔が利き、脳梗塞で倒れてから車椅子生活になるものの、不思議なくらい元気いっぱい!気に入らないことがあると周囲を怒鳴り散らし、激しい性格から時に暴走する。この二人がコンビを組む短編集です。

 本作は、主人公二人の年齢が年齢だけに、老人を狙った詐欺や認知症、介護といった高齢化社会を象徴する話題が盛り込まれています。

 こんな無茶苦茶なことを言う老人がいるか!と思える玄太郎の暴走ぶりに不快感を露わにし、ギリギリのところでなんとかその暴走を食い止めようとする静との掛け合いがいいバランスを保っていると言えるでしょう。

 確かに現実離れした話ではありますが、弱い立場の人たちの身になって事件を解決していく二人の優しさが根底にあるので、娯楽作品としては、楽しく読める作品です。